第85号 バイオエタノールの「不都合な真実」その2(メルマガバックナンバー)

第85号 バイオエタノールの「不都合な真実」その2

2007年3月16日発行

「私はチームマイナス6%です」

こんなバナーを掲げたインターネットサイトを頻繁に目にするようになりま した。京都議定書で日本は6パーセントの二酸化炭素削減を義務づけられたた め、その達成を目指してがんばろうという人たちの作ったグループが、参加を 呼びかけているバナーです。

でも、当店を含めてフェアトレード関係のHPでこのバナーを掲載している ところはほとんどありません。

皆さん環境のことに無関心なわけではなく、普通の人以上に熱心に環境につ いて考えたり行動しているはずなのですが、なぜなのでしょう?

私と同じように何か怪しいものをこうした地球温暖化キャンペーンに感じ、 しばらく静観してみようということなのかもしれません。

ここ静岡県がやっているキャンペーンを見ると、怪しさを強く感じざるをえ ません。

STOP温暖化 アクションキャンペーン
↑子供を巻き込むのはやめて欲しい。(2007年3月現在)


前回は、アメリカのブッシュ大統領が発表したエタノール増産計画のことを お伝えしました。今回もその続きを書きたいと思います。

ブッシュ大統領の発表以後、エタノールの原料となるトウモロコシが大幅に 値上がりし、トウモロコシのほとんどをアメリカからの輸入に頼るメキシコで は主食のトルティ−ジャが大幅に値上がりし、それに怒った市民が暴動を起こ しました。

メキシコというのはフェアトレード商品の生産国でもあり、消費国でもある というユニークな位置づけにあるところですが、やはり貧困に苦しむ人は多く、 トルティージャの値上がりによって、1日の賃金の3分の1がそれを買うため に消えてしまうことになった人たちも出ています。

人ごとだし、日本人には実感がわきにくいでしょうが、たとえば日本で米な どの主食の値段が大幅に上がり、1日の米代が数千円にもなってしまうとした らどうでしょう?

生活が破綻する人がかなり出てくるでしょう。長期化すれば家賃も払えない し、子供を学校にやれない人たちも出てくるでしょう。

前の号を読んでいない方、下のリンクから前号をお読みください。

ただ、もともと所得の高い日本では、農産物の価格がいくら上昇したとして もそこまで深刻な状態になることは考えにくいですが、1日数ドル程度の低所 得で暮らす人たちにとっては、農産物価格の数ドル程度の上昇でも暮らしに大 きな影響を与えます。

でも、金持ちにとっては、そんなもともと単価の低いものが多少値上がりし たとしても、たいした影響はありません。それどころかトウモロコシの相場で 大もうけできる人もいるでしょう。

今回のトウモロコシの値上がりのもともとの原因は、ブッシュ大統領の演説 ではありますが、直接の原因となったのは投機マネーのトウモロコシ市場への 流入です。

エタノール増産計画のため、トウモロコシの需要が増えると見越した投資家 が、その先物市場に投資をし始めたのがトウモロコシ値上がりの直接の原因です。

では、実際にトウモロコシでエタノールを作るとして、どのくらい「環境に 良い」ことになるのか、これから見ていきたいと思います。

前回お伝えしたように、原料のトウモロコシを生産するため“だけ”のため にも化石燃料がどのみち必要となります。1ブッシュル(約35L)あたり 0.76GGEのエネルギーが必要だという計算になります。GGEは“gallons for gasoline equivalent” 1ガロンのガソリン相当量という意味です。

1ガロンは3.785Lなのでリットルに直すと2.88Lになります。

かなりのエネルギーを使いますね。

これでは何となく石油をそのまま燃やした方が“環境にやさしい”ような気 がします。

「だったらトウモロコシの生産にもバイオエタノールを使ったら?」という声も出 てきそうです。

が、それはできません。

石油などの化石燃料を1ガロン作るためのコストは、95セントほどなのです が、エタノールを1ガロン作るには約1.74ドルもかかってしまいます。これで はとてもコスト的に引き合いません。

環境に悪いバイオエタノール

お金の問題は補助金や環境税など政策的な面から解決することができなくは ないですが、トウモロコシからエタノールを生産するためには、お金以外の様 ざまな問題も発生してきます。

まずは土壌流出。

アメリカでもトウモロコシ栽培はとても土壌流出が起こりやすく、土壌が回 復する速度の12倍もの速さで表土が流出してしまいます。

さらに、水の問題。

全号でもお伝えしましたが、水を大量に消費するトウモロコシを、アメリカ では乾燥した地域で灌漑して作ることが多いため、水を得るためにエネルギー が要るし、水資源を急速に消費してしまうことになります。

ネブラスカ州では80パーセントのトウモロコシが、補助金を受け灌漑され て作られています。水は「オガララ滞水層」という太古の昔に地層に蓄えられ た化石水を、天然ガスを燃料にくみ上げて使っています。日本の地下水と違い この水は、補充されることはほとんどないので急速に枯渇に向かっています。

Ethanol from corn: burning money and oilより)

さらに、これに加えてエタノールを作るためにも水が必要です。

トウモロコシからエタノールを作るには、ブドウ糖をまず作る必要があります。 ブドウ糖を発酵させることで、エタノールを作るのです。

が、この発酵などの一連の作業で、ガロンあたり113〜140リットルの 水がさらに必要になります。

発酵の際には二酸化炭素も発生してしまいます。

それにこれだけの水を使うということは、廃水も相当な量になります。一つ の製造所だけで中程度の規模の都市と同じくらいの量の廃水が発生するという ことです。

でも、汚染物質は廃水だけではありません。

大量のトウモロコシを使うわけですから、生ゴミが大量に発生するし、一酸 化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物も発生します。こうした汚染物質の排出基準 違反で、ネブラスカ州にある12のエタノール製造所がそれぞれ2万9000ドル から3万9000ドルの罰金を支払うことになりました。

これだけの問題を引き起こしながら生産されるエタノールですが、残念なこ とに燃焼効率が悪いのです。ガソリンの65パーセントの効率でしかないため、 たくさん生産しても賞味のエネルギーということになると同じ量のガソリンと 比べてかなり劣るものになってしまいます。

エタノールのエネルギー効率をガソリンに換算して見てみましょう。

2002年の資料だと、アメリカでは21億3000万ガロンのエタノールが生産さ れました。これをガソリン(のエネルギー)に換算すると約13億8千万ガロ ンになります。

では、この13億8千万ガロン分のガソリンエネルギーに匹敵するエタノー ルるを作るのに、どれだけの量のガソリン換算のエネルギーが使われたかとい うと...

14億4000万ガロンでした。(爆)

広大な面積の土地をトウモロコシ栽培で荒廃させ、補充されることのない地 下水を大量に使い、廃棄物や公害を発生させたうえにエネルギー収支がマイナ スでは、何の意味があってエタノールなんて作るのかわからないですね。

石油をそのまま燃やした方がずっと環境に良いはずです。

純粋に科学的、論理的に考えるとおかしな話なのですが、経済が絡んでくる と話は別です。

ブッシュ大統領は、もっとエタノール増産して、「10年間でアメリカのガ ソリン消費を20パーセント減らす」と言っています。

それには多額の補助金による利権がからんでいます。

それについては次回、詳しく見ていきたいと思います。

参考:

編集後記

地元のFM局番組を聞いていたら、DJが言っていました。

「桜って自分たちの感覚だと入学とか新生活の始まりっていうイメージがあ るんですが、最近では桜が卒業とか別れのイメージになっている曲が増えてい る気がします」

確かにそうかもしれません。

森山直太郎の“さくら”では、♪さらば〜友よいま旅立ちのとき〜〜と歌 っているし、「いきものがかり」(というグループ)の曲“SAKURA”で も同じように、♪卒業のときがきて君は町を出たと桜が卒業とか別れのイ メージで歌われています。

芸能関係は強くないのでこのくらいしか思いつきませんが、探せばまだまだ 桜が卒業とか別れのイメージで使われている歌があるのかもしれません。

温暖化の気候が当たり前になっていて、桜が早咲きするのに慣れている若い 人たちの間では、桜は入学とか新しい生活の始まりではなく、卒業とか別れの イメージなんですね。

温暖化の影響は、こんなところにも現れているようです。

が、しかし、ここまで書いて思い出しました!

私が高校を卒業した年は、おニャン子クラブ(古い!)の“じゃあね”とい う歌がはやっていました。

♪春はお別れの季節です。みんな旅立っていくんです。あ〜わいピンクの桜

という歌ですが、若い人は知らないかも。

20年も前からおニャン子クラブは桜を「卒業」のイメージで歌っていまし た。彼女たちは先見の明があったのかもしれません。

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