第55号 チョコレート会社からの返信メール!
2006年3月24日発行
このメールマガジンでは、コートジボワールをはじめとするの西アフリカのカカオ農園で、 子供たちが奴隷労働を強いられている問題をたびたび取り上げてきました。
先月発行したメールマガジンでは、「チョコレート会社に手紙を書こう」と 題し、日本国内の大手製菓会社向けにこの問題に関心を持ち、解決に協力して もらえるよう、働きかけることを皆さんに提案しました。
これを読んで、「メールを送りました!」とご連絡いただいた読者の方、あ りがとうございます。
「手紙を書こう」のメールマガジンを発行する前、私は国内の3社にメール を送ったのですが、そのうちの2社、森永製菓と明治製菓からメールの返事が 先日届きました。
私がメールを送り、製菓会社に行動を求めたのは、主に以下の3点です。
- 奴隷労働で作られたカカオが貴社製品に使われていないか、すぐに確認を してください。
- 奴隷労働の事実が確認できたら、子供たちにに適正な賃金と待遇、教育が 与えられるよう、納入業者や農園などカカオ貿易に関わる関係者に強く要 求してください。
- 子供たちの奴隷が使われていないと確認できた原料で、チョコレートを作 ってください。
そのとき送ったメールの全文、それに製菓会社にメールを送ることにした経 緯が下のバックナンバーにあります。読んでいない方はぜひお読みください。
下に送られてきたメールを載せます。
森永製菓からの返信メール
斉木隆男様
時下益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
日頃は弊社製品に格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
またこの度はご多忙中にもかかわらず、ご連絡をくださいましたこと、 重ねてお礼申し上げます。
なお、ご返事が遅くなりましたことをお詫び申し上げます。今般お問い合わせいただきましたカカオ農園での児童労働の問題へのご回答として、 弊社の現時点における考え方と取り組み内容をお知らせいたします。
弊社ではカカオ農場に限らずいかなる形態の児童労働にも反対であり、 今回の児童労働の問題に関しても、深く憂慮しております。本件に関しては国際的にはジュネーブに本部を持つ国際カカオイニシアティブ (International Cocoa Initiative)が国際労働機関(ILO)を顧問として、 児童労働のない社会の構築を目指して活動しています。
弊社はこの問題に対しては業界団体として取り組むことを基本方針とし、 日本の業界団体である日本チョコレート・ココア協会、 また同協会がメンバーである国際菓子協会(International Confectionary Association)を通じ、 国際カカオイニシアティブの「児童が過酷な労働を強いられないようにするための活動」に賛同し、 支援しております。
アフリカの児童労働の根底には貧困や社会的、政治的、経済的な問題が潜んでおり、 非常に複雑な問題であると思われます。
弊社は今後とも日本チョコレート・ココア協会を通じて情報収集に努めてまいる所存です。この度の件につきましてはご理解賜り、 今後とも引き続き弊社製品をご愛用いただきますようお願い申し上げます。
-------以下はあいさつ文なので省略-------
管理番号: 2006-02-195 ================================================= 森永製菓お客様相談室田中清美 〒108-8403 港区芝5-33-1 TEL:0120-560-162(菓子・食品・冷菓) 0120-560-168(健康) 【受付時間】 月・火・木・金・・・午前9時〜午後7時 水・・・・・・・・・午前9時〜午後5時 土・日・祝祭日・・・午前9時〜午後3時 URL:http://www.morinaga.co.jp/soudan/index.html =================================================
下は明治製菓からの返信メール
斉木 隆男様
拝啓 時下、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
日頃は弊社製品をご愛顧いただきまして誠にありがとうございます。この度は、カカオ豆農場の児童労働に関するお便りをいただき重ねて御礼申し 上げます。
さて、今般、お問合せいただきました当該児童労働の問題へのご回答として、 弊社の現時点における考え方と取り組み内容をお知らせいたします。弊社で は、カカオ豆農場に限らずいかなる形態の児童労働にも反対します。
弊社の企業活動のよりどころとなる企業行動憲章では、「各国、地域の文化・ 習慣を尊重し、現地の発展に貢献」と規定しております。本件の問題に対して は、真摯に取り組んでいく所存です。
本件問題への取組みといたしましては、業界団体として取り組むことを基本方 針とし対応しています。具体的には、ジュネーブに本部を持つ国際カカオイニ シアチブ(International Cocoa Initiative)が児童労働のない社会の構築を 目指して活動をしていますが、弊社は日本の業界団体である日本チョコレート ・ココア協会、また同協会がメンバーである国際菓子協会 (International Confectionery Association)を通じ、国際カカオイニシアチ ブとの連携を取っています。
ご存知のとおり、本件児童労働の問題を始めとし、アフリカにはエイズ、戦争 、貧困、食糧の問題等多くの問題を抱えており、その根底には、政治的、社会 的、経済的問題があるといわれています。おはがきにもあるように、「対応の 難しい事柄」と認識しております。
弊社といたしましても、今後とも日本チョコレート・ココア協会を通じて情報 収集を行っていく所存です。
皆様に真においしく食べていただけるチョコレートをお届けできるよう努力い たしますので、ご理解の程よろしくお願いします。
末筆にはなりましたが、ご返事が遅れましたことをお詫び申し上げますと共に、 ご家族皆様方のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
明治製菓株式会社
総務法務部 CSR推 進室長
私のメールマガジンを読んで「メールを送りました。」とご連絡いただいた 方たちにも、同じ文面の返事が届いているのでしょうか?
いかにも広報担当者が書いたような、当たり障りのない表現が若干気にはな りますが、具体的な返事を求めたメールではなかったのにこうして返事をして もらえたことに関しては、素直に評価したいと思います。
両方のメールを見ていただいてわかるように、どちらもほとんど同じ内容の 文面です。
本件問題への取組みといたしましては、業界団体として取り組むことを基本 方針とし対応しています。具体的には、ジュネーブに本部を持つ国際カカオイ ニシアチブ(International Cocoa Initiative)が児童労働のない社会の構築 を目指して活動をしていますが、弊社は日本の業界団体である日本チョコレー ト・ココア協会、また同協会がメンバーである国際菓子協会 (International Confectionery Association)を通じ、国際カカオイニシアチ ブとの連携を取っています。
これが両社の方針ということになるようです。それにしても、内容について だけでなくこの部分の文面までほとんど同じということは、業界団体内で回答 マニュアルが作られているのかも知れません。
この回答の中心部分をわかりやすく言うと、次のようになると思われます。
- 森永製菓と明治製菓は、日本の業界団体である日本チョコレート・ココア協会の会員である。
- そして日本チョコレート・ココア協会は、「国際菓子協会(ICA)」の会員である。
- 国際菓子協会は、カカオ農園での児童労働の問題に取り組むICI(国際カカオイニシアチブ)の構成団体である。
- だから、私たちも業界として奴隷労働の問題に取り組んでいることになる。
森永製菓と明治製菓が会員になっているという日本チョコレート・ココア協会はこちらです。
児童労働のような社会的な問題に取り組んでいる団体ではないようです。
そして日本チョコレート・ココア協会が会員であるという国際菓子協会(ICA)はこちら(英語)です。
どうやらここは、各国の製菓会社の業界団体がメンバーとなり、運営してい る団体のようです。確かに日の丸のマークがあり、日本チョコレート・ココア 協会が、メンバーとして紹介されています。
サイト内を見てまわるとわかるように、カカオの生産現場での児童労働の問 題についてまじめに取り組んでいる団体です。定められた労働基準が守られて いるか認定するシステムも構築しようとしています。
この国際菓子協会(ICA)をはじめ、ILO(国際労働機関)や奴隷問題、
児童労働問題に取り組むNPO、カカオチョコレートの業界団体がカカオの生
産現場での子供たちの奴隷労働をなくすために設立されたのが、
International Cocoa Initiative(ICI国際カカオイニシアティブ)です。
(英語のページもあります。)
ICIは2002年にスイスの法律のもとジュネーブに設立されました。 2003年には消費者から農民にいたる様ざまな立場の団体と協議を重ね、目 標達成や行動のための計画が2004年に採択され、「世界最悪の形の児童労 働」と呼ばれる西アフリカのカカオ農場での子供たちの強制労働、奴隷労働を なくすために活動しています。
この団体のサイト内、そして2005年のPROGRESS REPORT(進捗状況報告) と呼ばれるものを読みましたが、いまひとつ具体的に何をしているのかよくわ かりません。行動目標的なものはたくさん書いてあるのですが、具体的なとこ ろはまだサイトが工事中だったりしてよくわかりません。
PROGRESS REPORTを読んだ感じだと、まだ特定のコミュニティ(何をcomunity と言っているのかわからなかった)でこの団体の基準に合わせたカカオ栽培が まだ実験的に行われているだけのようです。企業や農場に圧力をかけたり、政 府にロビー活動を行ったりするような団体ではないように見えます。
PROGRESS REPORT OCTOBER 2004 TO JANUARY 2005(現在リンク切れです。)
今回、子供たちの悲惨な状況を改善するために、世界のチョコレート/カカ オ業界が具体的に何をしているのか知りたいと思い、いろいろ調べてみました が、努力目標的な情報や現状を憂慮するような文章はたくさんあっても、問題 解決のために具体的に彼らが何をしているのかは、いまひとつわかりませんで した。あまり結果は出ていないのかも知れません。
そういうこともあり、アメリカで人権団体が大手のチョコレート会社を相手 に裁判を起こすことになったのかも知れません。
International Labor Rights Forum(英語)
この裁判のことも以前のメールマガジンで触れました。先月第1回目の公聴 会が開かれたそうですが、それ以降のことがわからないので、今現地の団体に 問い合わせをしているところです。返事が来たら、またこのメールマガジンで お知らせしたいと思います。
編集後記
今回は、子供たちの奴隷労働に関して日本の大手製菓会社に送った問い合わ せメールの返信文を元にこれを書きました。明治と森永のほか、ネスレにもメ ールを送ったのですが、ここからは返事がまだきません。ずっと来ないかも知 れません。
前にスターバックスとも話し合ったことがありますが、一般の日本人のイメ ージと違ってとんでもない官僚的な組織でうんざりさせられました。ネスレも 多国籍企業なので似た体質を持っているのかもしれません。
訂正:ネスレ社には、こちらから送ったメールが届いていなかったということでした。 その後メールが届きましたので、以下のページでネスレの取り組みをご紹介 します。
明治と森永が「連携を取ってい」ると言っていた国際カカオイニシアティブ (ICI)は、掲げている目標はものすごく立派ですが、いまひとつ具体的な 活動内容がはっきりしませんでした。
「一部のコミュニティで実験的なプログラムをしている」みたいなことは書 いてあるのですが、具体的に何をしているのかがよくわかりません。ICIは メンバーの中に業界団体も入っているし、現地にもいろいろと難しい問題があ ると思うので、あまり急激な変革はできないというところもあるのかも知れま せん。
学生の人たちは、春休みですね。時間がたくさんあってうらやましいです。 私が学生の頃はインターネットなんてなかったので、英語の勉強のために英字 新聞を駅で買ったり、高い本を買ったりしていましたが、今はほんとうに安い コストで英語の勉強ができますね。
英語の勉強も兼ねて、今日ご紹介した英文のサイト、レポートを、ゆっくり 読んでみてください。ビジネスで使えるような英会話を勉強したいなら、下が おすすめです。
参考サイト
- International Confectionary Asociation(ICA)
- International Cocoa Initiative
- ICIPROGRESS REPORT OCTOBER 2004 TO JANUARY 2005(現在リンク切れです。)
- ILRF (International Labor Rithts Forum)
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