子供の奴隷が作るチョコレート

子供の奴隷が作るチョコレート〜カカオ生産現場の児童労働

フェアトレードのカカオで防ぐ貧困と環境破壊
〜チョコレートを知らない子供たち〜

「殴られるのは生活の一部。ココアの袋を担がされて、落としてしまっても、誰も助けてくれない。 もう一度担ぎ直すまで殴られ続ける。」

カカオの実。幹に直接実が付きます。
子供たちは、大きなナイフを使って実を収穫します。
高い木に登らされることも。

以前、カカオのプランテーションで、奴隷として働かされていた少年の言葉です。
彼は幸運にも、奴隷から開放されました。

「奴隷」と聞くと19世紀の遺物のように思えますが、実は21世紀の今日でも、奴隷は存在します。

インド、パキスタン、ネパール、中国、バングラディシュのようなアジアの国ぐに、 そしてコートジボアールなどの、西アフリカのカカオプランテーションで奴隷が存在します。
Free the SlavesというNGOによると、その数は、2700万人に上るということです。

このページでは、コートジボアールのカカオプランテーションで働く、子供の奴隷について見ていきます。


コートジボアールは、世界最大のカカオ産地で、世界全体の43%のカカオを作っています。
2000年のアメリカ国務省の報告によると、9歳から12歳の少年が、コートジボアール北部のコーヒーやカカオのプランテーションで奴隷として働かされているということです。
法律的には違法なことなのですが、半ば公然と行われているようです。

子供たちは、さらわれたり、だまされたりして連れて来られます。
子供たちの仕事は、カカオを収穫して、実を切り開いて中身を取り出すといった作業です。
危険な農薬を撒かされることもあります。
農薬を防ぐ防具などはまったく与えられません。

仕事は長時間できつい作業です。朝6時くらいから畑に出て、夕方暗くなる6時半ころまで働きます。
この国だけで、12,500人の子供たちが奴隷として隣国などから連れて来られたと思われます。 (世界熱帯農業研究所調べ 2002年8月)

子供たちは隣国のマリ、ブルキナファソ、トーゴなどからやって来ます。
親に売られて来る子もいます。「売られて」というよりだまされてです。
親たちは、コートジボアールで、子供たちがまともな仕事に就いて、そのうち稼いだお金を送ってくれると信じて、子供たちを送り出します(売り渡します)。

でも、コートジボアールとに着くと、そんなことはウソだということがわかります。
子供たちに給料が支払われることはありません。

収穫されたカカオの実を切って、中身
を出したところ。
普通は縦に割ります。中の白いワタの中に、
いわゆるカカオ豆が入っています。
この後、発酵させて中の豆を取り出し、
日に干して乾燥させる作業を行います。

奴隷だから。

学校にも行かせてもらえません。

奴隷だから。

子供たちすべてが奴隷ではなく、給料をもらう子もいます。
が、その子たちもなかなか学校には行かせてもらえません。
だから、コートジボアール全体では就学率は64%なのですが、カカオ農園で働いている子供たちの就学率は、わずか34%でしかありません。

日本では子供たちの大好物のチョコレート。
でも、原料のカカオを作っているのは、奴隷として連れて来られた同年代の子供たちだという現実が、 世界にはあります。

「ぼくは、チョコレートが何か知らないんだ。」

カカオ農場の奴隷から開放された、先ほどの幸運な少年は言います。

日本の子供たちが大好きなチョコレートですが、その原料となるカカオを作っているのは、 同年代の少年たち、しかも奴隷の少年たちという現実が世界にはあります。

奴隷労働に興味のある方、Free the SlavesのHPをご覧ください。(英語)

2006年2月、子供たちの奴隷労働に反対するアメリカの人権団体が、 チョコレート会社などを相手取り、訴訟を起こしました。

自由貿易による悲劇〜奴隷が生まれる背景

奴隷を使っているのなら給料を払わなくていいから、農園主は儲けているのだろうとあなたは思うかも知れません。
でも、実際は、農園主もまた、貧しいのです。

世界熱帯農業研究所(IITA)の2002年の報告によると、ココア農業で得られる収入は、 家族一人当たり30〜110ドルです。これでは必要なものを買うことすら満足にできません。
労働者を雇って生産することもできず、子供を奴隷として働かせることになります。

原因は、政府によるココア豆の買取り価格が安すぎるから。
なぜそんなに安いのかと言えば、国際的なカカオの市場価格の暴落のためですそのため。
ココア農場では、生産に必要なコストさえ出すのが難しい状況です。
村にはポンプをつけるお金もなく、住民は、近くの川への水汲みに疲れ果てている。
質の悪い水で病気になる。
といったことも報告されています。

このような悲劇が起こる背景にも、「自由貿易」があります。

対外債務を抱える途上国では、食料を輸入してでも、自国の産品を輸出して外貨を稼ぐことが、 IMFなどから求められています。
いくら国際価格が安くても、他に外貨を得る方法がない以上、生産を続けなければなりません。
いくつもの国で同じことをすれば、カカオがだぶつき、国際価格が下がることになります。

「それぞれの国が、それぞれ得意なものだけを作って輸出すればみんなが得をする」という比較優位、 自由貿易の考え方は、貧困と失業と環境破壊を途上国にもたらしました。
得をしたのは、先進国の商人だけです。

関連情報

貧困と環境破壊を招くカカオの単一栽培

奴隷労働が行われる背景には、カカオの国際価格の暴落があり、暴落の原因には、 世界各地でのカカオ生産の増大、供給過剰がありました。
西アフリカの国ぐにや、中南米の国ぐになどが、カカオの生産を増大させたのは、対外債務を返すためです。

カカオに限らず、途上国に多く見られる綿やバナナ、コーヒーなどの商品作物の栽培は、 植民地時代に旧宗主国から持ち込まれたものです。
石油のような資源があるわけでなく、先進国のように工業製品を輸出できるわけでもない発展途上国では、 唯一の外貨を稼げる手段が商品作物の栽培と輸出です。

60〜70年代にかけて道路や港湾、空港やプランテーション開発など、 インフラ整備で借金を作ってしまった途上国は、その債務と利子の返還で苦しんでいます。
こうした債務危機に陥ってしまった国ぐにに対し、「救済融資」を行うのが、IMFです。
IMFは、融資の条件の一つとして、カカオなど特定の商品作物の単一栽培を行い輸出を増やすことで、 借金を返すように途上国に求めます。

カカオ、コーヒー、砂糖といった商品作物に偏った農業は、国内での食糧生産を犠牲にするものです。
EUやアメリカなどからの補助金付きの安くてうまい穀物の輸入増大を招き、 その国の食料生産に携わる農民の生活を破壊します。
また、特定の作物に偏った栽培は、伝統的にその地域で行われてきた農法と異なり、 環境に対してとても大きな影響を与えるものです。

森林破壊を招くカカオの単一栽培

カカオは、南米原産の植物で、もともとは日陰で育つものでした。伝統的には、 他の木などの植物の間に植えられて、育てられてきました。

日本の雑木林もそうですが、単一の植物のみが植えられている場合と違い、 多様な植物が育っている環境では、生態系が豊かになります。
カカオの木は鳥や虫など様ざまな生物に棲みかを与えます。
しかし、カカオだけが植えられているプランテーションでは状況が異なります。

緑の革命がもてはやされた70年代、カカオにも新品種が登場しました。
日なたでも栽培可能な品種です。
これにより、熱帯雨林を大規模に破壊したプランテーション開発が進められるようになりました。
コートジボアールでは、2000年までに国内の14パーセントの熱帯雨林が破壊されてしまいました。

新しい品種は収量は多いのですが、大量の化学肥料や農薬を必要とします。
カカオに吸収されなかった化学肥料は、やがて地下水に溶け込んで水を汚染します。
強い農薬の使用は、作業をする人たちの健康を害します。
農薬の使いすぎは、害虫や病原菌に耐性を持たせて、病気や害虫の大発生を招きます。
これは農民が耕作放棄する原因となります。

農民は他の場所でまた新たに森を切り開きカカオを植え、同じような農業を行います。
そしてまた病害虫の大発生でそこを捨て...ということを繰り返すことになってしまいます。

環境を守り、貧困をなくすフェアトレードのカカオ

フェアトレードのカカオの多くは、「シェードツリー」と呼ばれる日陰を作る木と一緒に植えられて育てられます。
こうすると農地の植生が豊かになり、鳥や虫やいろいろな生物の棲みかを作ることができるようになるからです。
カカオの木と木の間に他の植物が育っているので、病気が広がることもありません。
虫や動物などの生物の多様性が守られているので、害虫ばかりが大発生することもありません。
危険な農薬を使う必要もありません。

こうした伝統的な農業の復活は、今の時代のオーガニック農法に通じる物があります。
農薬や化学肥料を使わずに伝統的な自然農法で作られたカカオは、 オーガニックまたはそれに準ずるものとして、他のカカオより高い価格で売ることができます。
農民は、より高い収入を得ることができます。

「オーガニック」と表示をするためには、認定を受ける必要があるため、 なかなかすべてのフェアトレードのカカオ製品がオーガニックではありませんが、 フェアトレードのカカオは、自然の生態系や作る人、 食べる人の健康を考えて安全な方法で作られたものです。

フェアトレードの農場ではもちろん奴隷を使ったりはしません。
搾取的な労働をさせることもありません。
フェアトレードが支援するのは、小規模な、家族で農業を行っているような農民たちです。
そして彼らの暮らしが成り立つような買取価格を、フェアトレードでは保証しています。

農民たちは、かつては貧しく苦しい生活をしていましたが、自分たちの力で状況を改善するため、 協同組合を結成しました。
その協同組合からカカオは、日本などの先進国のフェアトレード団体に向けて輸出されます。

そんなカカオ農民の協同組合の一つ、ボリビアの「エルセイボ」について説明します。

フェアトレードのカカオ生産者、「エルセイボ」の取り組み

ボリビアに限ったことでは有りませんが、協同組合ができる前までは、 輸送手段や販売ノウハウのない農民は、仲買人に作ったカカオを売らざるをえませんでした。
足元を見た仲買人は、カカオを買い叩きます。
生産過剰による国際価格の低迷もその背景にはありました。

エルセイボは、そんな仲買人を通さずに、自分たちの力で生産物を都市に出荷することで、 農民たちの利益を守るために77年に結成されました。
「エルセイボ」と言う名前は、熱帯地方に生育するたいへん生命力の強い木にちなんでつけられました。
切り倒されても新たに値を張り、芽を出し続けるこの木のように、 自分たちの組織も絶対に死なないという強い意志を示したのです。

エルセイボがあるのは、ボリビアのアルトベニ地方。
標高400mの肥沃な土地です。60年代に入植が行われ、 土地のやせた高地なとから多くの人びとが活路を求めてこの土地に入植してきました。

農民たちは、政府が経営する組合に加盟しなければなりませんでした。
が、ほどなくしてこの組合は、倒産してしまいます。
農民たちは何の販売手段も販売のためのノウハウもない状態で放り出されました。

特に問題だったのが、標高3800mの高地にあるこの国最大の商都(首都ではない)、 ラ・パスまでの260kmの道のりを収穫したココアを運ぶ手段がないことです。
農民たちは、買い付けにやってくる仲買人にカカオを売るしかありません。
農民たちの足元を見て、また農民が市場価格や商売のことを知らないのをいいことに、 仲買人たちはカカオを安く買い叩きます。
お金の代わりに他の他の作物で支払ったりすることもありました。

そこで農民たちは、共同でトラックを購入し、自力で各農家からカカオを集荷(各農家を回って荷物を集めること)してラ・パスまで出荷できるよう、組合を結成したのです。

エルセイボは、同様の協同組合の中で、最初にオーガニック農法に転換した団体です。
もともと肥沃な土地なので、化学肥料や農薬は必要ありませんでした。
88年には、ヨーロッパのオーガニック認証団体の申請を始め、 現在は65%の生産物が、オーガニックとして認定されています。

エルセイボの取り組みについて興味がある方は、こちらのPDFファイルをお読みください。

自前の加工工場を持つ

カカオは、実のままで食べる作物ではありません。実からカカオバターやカカオマスを作り、 チョコレートやココアパウダーなどに加工して利用します。
だから単にカカオの実を売るだけでは利益は限られています。
エルセイボでは、83年にラ・パス郊外にカカオの加工工場を作りました。

エルセイボが作る
ココアパウダー

エルセイボが作るココアパウダー途上国の農民の組合が。
加工工場を持つのは、世界で始めてのことでした。
工場では、カカオバターやカカオマス、ココアパウダーを作っています。そして外国のフェアトレード団体に輸出したり、チョコレート製品に加工して、国内で販売しています。

フェアトレードのカカオ製品の販売をにより、エルセイボの農民たちは、 仲買人による搾取的な価格支配から抜け出し、適正な価格で自分たちの作った物を販売できるようになりました。
マーケティングの力もつけ、誇りを持って生産できるようになりました。
農民たちの努力が実ったのと、多くの人がエルセイボのカカオを使ったココアやチョコレートを選び、 買ってくれたからです。

チョコレートの真実 By キャロル・オフ

チョコレートの真実 代表的なフェアトレード商品となっているチョコレート。カカオの生産現場のことやカカオ農園で奴隷のように働かされている子供たちのことをこのサイトではご紹介していますが、より詳しく世界のカカオ(チョコレート)の背景にある問題を知りたい方にぜひ読んで欲しい本です。

著者のキャロル・オフは、ジャーナリストとして実際にコートジボアールのカカオ農園に行き、子供たちや農園関係者に取材を行っています。

子供たちを守るために戦っている現地の活動家やジャーナリストの命がけの仕事の様子もレポートされています。一朝一夕に解決できない問題だということが、この本を読むとわかります。

奴隷労働の問題のほか、チョコレートがいかにして私たちの身近な存在になったのかとか、昔の奴隷貿易の話など、極めて多くの貴重な情報が得られます。

この手の翻訳本はかなり値段が高いことが多いのですが、1,890円なので比較的手ごろな値段で買うことができます。多くの人に読んでいただき、おいしいチョコレートには負の部分、影の部分があることを知っていただきたいと思います。

冊子:なぜ、フェアトレードのチョコが必要なのか?

カカオ農園での児童(奴隷)労働の背景

欧米の人権NGOや、最近では日本のフェアトレード団体も問題にしている、カカオ農園での子供を使った奴隷労働。

その背景、その対案としてのフェアトレードチョコレートについて、詳しく解説する冊子を作りました。

当店では開店以来ずっとこの問題について、HPやメールマガジンを通じて情報提供を行っていますが、 そうした情報を1冊の小冊子にまとめました。

フェアトレードチョコレートが必要な背景について、多くのことを学んでいただける冊子です。

学校の授業やレポートなどにもご活用いただけると思います。

フェアトレードのチョコレート

当店で扱うフェアトレードのチョコレートは、 エルセイボのカカオとフィリピンの無農薬で作ったフェアトレードの黒砂糖を使ったチョコレートです。

エルセイボの品質の良いカカオと、「マスコバド糖」というフィリピン、ネグロス島で昔から作られてきた粗製糖の深い味わいが感じられるチョコレートで、 市販のチョコレートにはないおいしさから、大人気商品になっています。

フィリピンは砂糖の単一栽培が行われ、土地を持たない農民は大地主のもとで小作人をしています。
80年代、先進国の女性のダイエット志向や、カロリーの低い新しい甘味料が出現したため、砂糖需要が減り、 世界相場が大暴落しました。
農民たちは解雇され、たちまち飢餓に陥りました。

砂糖ばかりで食糧を生産していない島では食べる物がないからです。

そんな砂糖農民たちの支援のために行われているのが、マスコバド黒砂糖のフェアトレードによる貿易です。
「マスコバド」というは、フィリピンの昔ながらの黒砂糖の製造方法のことです。

フェアトレード・チョコレート

チョコレートは、スイスの家族経営の小さな工場で作られます。スイス伝統のやり方をがんこに守る工場で、 手間をかけて丁寧に作られています。

当店のフェアトレードのチョコレートは、 ボリビアとフィリピン、ネグロス島の農民の生活を支えるチョコレートです。
とてもおいしいチョコレートです。ぜひお召しあがりください。

フェアトレードのチョコレートについての詳細、ご注文は、次のページをご覧ください。


当店のメールマガジンのバックナンバーの中にも、フェアトレード・チョコ関連の記事がたくさんあります。
下に主なページへのリンクを掲載しましたので、ぜひご覧ください。

フェアトレードの無料メールマガジン

メールマガジン「貧困のない世界を作る!フェアトレードの話」は、
フェアトレードをテーマにした日本で最初のメールマガジンです。

当サイトの管理人の斉木は、2003年11月より、 フェアトレードをテーマにしたメールマガジンを発行しています。
当時他にフェアトレードのメールマガジンはなかったため、 これが日本初のフェアトレードのメールマガジンということになります。

内容は、フェアトレードや貧困問題に関する最新情報を、わかりやすく解説したり、 児童労働、奴隷労働、貧困といった問題も、背景知識のない方でもわかるよう、 具体的に、わかりやすく解説したりするもの。

  • 世界に貧困問題が発生する原因とは?
  • フェアトレードの問題点
  • 日本人として何ができるのか?

といったことを、このメールマガジンで学ぶことができます。

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