フェアトレードで防ぐ児童買春

フェアトレードで防ぐ児童買春

貧困、児童買春をなくすドライマンゴプロジェクト

プレダ基金、シェイ・カレン神父の試み

かつてスペインに占領され、その後アメリカ軍の基地が置かれたフィリピンは、 アメリカ軍の兵士相手の児童買春が、国内最大の産業になってしまったことがありました。

児童買春は、今でもなくなっていません。“児童”という言葉を使うのは、 被害を受ける子供たちの中には、男の子も含まれているからです。

女の子を好む客には女の子を、男の子を好む客には男の子を、売春宿では与えます。

5歳の男の子が白人男性数名によって襲われ、腸が裂けて大出血を起こし、 病院に担ぎ込まれたというものがあった。幸い一命は取り止めたが、気がついた時その男の子は、 「白人は悪魔だ!」と叫んだという。

同じことが幼女たちにも起きていた。子宮が飛び出るほどの激しい性暴力で虐待を受け、 捨てられていた少女たちをタイ赤十字社が発見して人知れぬ場所に隔離したという。

(児童買春問題に取り組む「カスパル」のホームページより抜粋)

フィリピンでは児童買春が組織的に行われていて、ユニセフ(UNICEF 国連児童基金)によると、 10万人の子供たちが、児童買春に従事させられているといいます。
世界には、買春をさせられている子供たちが、約100万人いるといいます。客はヨーロッパやアメリカ、 オーストラリア、そして日本からもやってきます。

こうした子供たちが置かれた現状に心を痛め、子供たちを売春の被害から救い、 同時に彼らが児童売春の被害にあう根本原因である「貧困」をなくすため、 フェアトレードにより、人びとの収入を増やす活動をしている人がいます。

シェイ・カレン神父です。
神父は1969年、米海軍のスービック基地の町として知られるオロンガポ市に赴任しました。
地元の金持ちが地域の発展のためでなく、私欲を優先して軍人相手の娯楽施設ばかりに投資する一方で、 貧しい人たち、特に母子家庭の母親たちが体を売らなければならない現実、 時には子供たちまでが体を売っている現実に心を痛めました。

「彼女たちは深く傷ついていました。売春を生活の手段としていることで、 自分が常に搾取されているという思いにさいなまれ、人間としての尊厳を失っていたのです」

1974年、カレン神父は、麻薬や売春によって傷ついた人たちの心と体の治療とリハビリテーション、 社会復帰を支援するため、「プレダ基金」を設立しました。
プレダ基金は、売春の犠牲となった子供たちを救い出し、社会復帰させる一方で、 売春の加害者を法廷で裁く運動や、世界規模の児童売春撲滅キャンペーンを行っています。

貧困の根絶を目指す

児童買春が起きるのは、やはり人びとが貧困で苦しんでいるためです。
親たちに収入がないため、子供たちは学校に行くことができません。
子供たちは家計を助けるため、働きに出ようとします。
そして売春斡旋業者に「住み込みのメイドの仕事がある」と騙されて、 あるいは「工場で働けば十分に稼いで貧しい家族に仕送りができる」と騙されて、 売春宿に連れて行かれてしまうのです。

地元で十分にお金を得ることができないから、このような悲劇が起こるのです。
そこで、プレダ基金では、人びとが都市に出なくても生活していけるよう、 地元で、自分たちの手仕事で生活をしていけるよう、支援を始めました。
彼らが作った商品は地元オロンガポ市や、スービック基地の米軍兵士らに売れるようになりました。

が、一方で米軍人たちによる児童買春の実態が明らかになりました。
調査の結果オロンガポ市内で1万6千人が児童買春の犠牲になってることがわかりました。
カレン神父とプレダ基金のスタッフは、米軍基地撤去と米軍基地周辺での児童買春撲滅運動を始めました。
神父たちには圧力がかかるようになり、児童買春の存在を隠蔽しようとした地元のオロンガポ市長から、 プレダ基金が支援している商品は違法だとされ、不買命令が出されました。

生産者たちは地元で売れなくなったので、やむなく販路を海外に求めざるを得なくなりました。
が、このことによって、プレダ基金は、海外のフェアトレード組織と出会うことになりました。
そして今、日本にはプレダ基金の製品は、「ドライマンゴ」がフェアトレードで輸入されるようになっています。

子供たちを売春の被害から守るには、真の意味での経済発展が必要です。神父は言います。
「本当の発展とは、汗水流して農作業にいそしむ人びとに適正な賃金が支払われ、 自分たちの村で豊かな暮らしを続けられるようになること、 そして、子供たちが安心して学校に通い続けられるようになることです」

プレダ基金では、貧しい農家に適正な収入を得られるようにするため、 マンゴを公正な価格(農家が生活できる価格)で買い取ることを始めました。
買い取られたマンゴは、ドライマンゴに加工され、日本に輸出されています。

マンゴはどこの農家にも1、2本は植えており、果実を収穫して販売しています。
しかし、マンゴの買い取り価格は、地元の製造業者のカルテルによって低く抑えられていました。
他に買い取ってくれるところもないので、農家はやむなく業者に、相手の言い値で販売していました。

プレダ基金が、公正な価格で買取りを始めてからは、状況は変わりました。
マンゴの価値がここ数年急速に高まりだしたのです。
プレダが適正な価格で買い取る実績を作ったため、カルテルは、すっかり威力をなくしました。
プレダに売られる量が増えるにしたがい、マンゴが不足し始めました。

そのため、他の輸出業者や加工業者は、必要な量のマンゴを確保するため、 農家により高い金額を提示しなければならなくなりました。
こうしてマンゴの価格が上がったために、貧しい農家にも恩恵がもたらされるようになったのです。

売春の被害にあうような子供たちの家が豊かになれば、子供たちは画工に通うことができます。
外に働きに出て危ない目にあうことを防ぐことができます。
地元で収入を得ることができるようになれば、農家が仕事を求めて待ちに移住することもなくなります。

プレダ基金は今では、カルテルのバイヤーに匹敵するするほどの存在になりました。
フィリピン全土から適正な価格でのマンゴの買取りを行うことで、この国のマンゴの相場が上がりました。
そしてたくさんの農家がその恩恵を受けるようになりました。

プレダでは、農家にマンゴの苗木を送ったり、利息なしで貸付けを行うなどの資金面での支援も行っています。

農民たちが作ったマンゴは、日本には「ドライマンゴ」の形で輸入されています。
輸入元は、フェアトレードカンパニー(株)。
世界十数カ国のフェアトレードの生産者を支援している団体です。

プレダ基金のドライマンゴ
¥530(税込み)
フィリピンの農民の暮らしを守り、
子供たちの売春を防ぎます。

ドライマンゴは、添加物を一切使わずに作られます。
原料のマンゴの栽培過程もすべて有機農業に切り替えることができるよう、 農民たちはプレダの支援を受けて研修に取り組んでいます。
今では殺虫剤や化学肥料の使用をやめ、有機農法による生産が約80%にまでなっています。

フェアトレードによる支援を受けることになり、フィリピンの農民たちの暮らしは大きく変わりました。
マンゴの適正な価格での取引きを続けることで、 何百人もの貧しい子供たちが売春斡旋業者の手に落ちることを防いでいるのです。

フィリピンの子供たちが売春させられるのを防ぐためには、 私たちがこのドライマンゴを買取り続ける必要があります。
少しでも多くの人たちが、このドライマンゴを買うようになれば、それだけ多くの子供たちが救われます。

管理人の店「ふぇあうぃんず」では、このプレダ基金の取り組みに賛同し、 このドライマンゴの販売協力を行っています。
食べだすとクセになる、とってもおいしいドライマンゴです。
フェアトレードということを抜きにしても、他にはないおいしさが魅力です。
そのまま食べても、パンやお菓子作りに利用してもおいしくいただけます。

管理人が経営するフェアトレード・エコロジーの店「ふぇあうぃんず」では、こうしたドライマンゴをはじめ、 さまざまなフェアトレード商品の通販を行っています。

ぜひ、フェアトレードにご協力ください。世界各地の生産者が作ったフェアトレードの商品を、 多数ご紹介しています。

参考

  • フェアトレードカンパニー(株)発行 People Tree 2002春夏号
  • フェアトレードカンパニー(株)発行 ニュースレター1999年夏号
  • 児童買春問題に取り組む「カスパル」のホームページ(現在リンク先ページなし)

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